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セルフケア支援マスターへの道【初級編】最終日
をサビ管協会で実施しました

2021.11.11

report

2日目から2週間を置いて、3日目最終日の研修を実施しました。

これでセルフケア支援を始めてから3週間が経過しています。
実はこの3週間、習慣化では一つのターニングポイントとして知られています。
人間の脳の中には、爬虫類の頃に形成された部位があり、そこからは本能として「いつもの同じことを続けなさい」という指示が自動的に出されるそうです。爬虫類は捕食されないために冒険心がないほうが良かったのですね。ですから新しいことをやろうと考えませんし、やろうとしても脳が止めるのです。この命令が人間にも影響し、人は新しくことをやり続けることが苦手なのだとか。つまり3日坊主ですね。では新しいことをどのくらい続けると、それが「いつもの同じこと」に変換されるのか。内容や取り組み頻度によって違うと言われますが、細かいことはさて置くとその一つの答えが21日、つまり3週間です。この段階になると逆に新しい取り組みを「いつもの同じこと」と認識するため、逆にやらせようとします。ここまで持っていくと習慣化は楽になりますね。

さて、今回も皆さんが気になっていることを集めてみると、大きく次の3つでした。

1)他のスタッフの巻き込み方
2)報告時の「1つの質問の選び方」
3)本人チェックと周囲からの見た目が違う時
4)ご利用者から「支援者が未熟なのに・・・」という指摘
順に解説します。

1)他の支援者の巻き込み方
他の支援者にもできるようになって欲しいと考え始めるころですね。お伺いするとご参加者3名のうち、お一人は1週間たった段階で他の支援者一名に話して、セルフケア支援を始めてもらったそうです。他の2名はどうしようと悩んでいるものの難しさも感じています。さてどうしましょう。まず、一時的にイヤイヤやってもらっても、続かなければ意味がないですね。ですから、「継続的に習慣として他の支援者ができるためにはどうしたら良いか」という設問に置き換えることができそうです。
習慣化は、ただ始めるのではなく「きっかけ」「欲求」「反応」「報酬」を考えて作るとうまくいきやすいのです。

今回この中で注目したいのは「欲求」です。
前提としてご参加者3名とも、自分の組織を代表して受講されていますから、他のご支援者はこのセミナーを受けていません。その段階で他のご支援者と「欲求」レベルが違うことが分かります。ですから他の支援者にも伝えたいと考えるのは分かりますが、僕と同じレベルで伝えることは難しいため、正しく伝播されません。これは話力が理由ではなく、経験値の差です。知識を伝えるより、知恵を伝える必要があると言えば良いでしょうか。自分が実践して経験していないことは、自分もはっきり分かっていないため相手には伝わりません。ですから、最初は自分だけで取り組み経験値を上げると良いでしょう。かといって内緒にはしません。何をしているのかを説明し、「最初は自分でトライアルとしてやってみる」と伝えておくと良さそうです。最初は周囲も物珍しそうに見ていますが、1か月もするとやっている側も慣れてきて質も向上します。すると、周囲も「なんだか面白そう」と興味を持つようになります。これで「欲求」の準備はクリアしそうです。

2)報告時の「1つの質問の選び方」
まずは自分の得意な質問パターンを作ると良いでしょう。ご参加者3名に、僕が提示している質問の中でよく使うのはどれ?と尋ねると、皆さん違っていました。

次の段階では自分があまり使わない質問の中で「今週はコレを使ってみよう」という目標を決めておくのも良いでしょう。もう一つお勧めのやり方がありますが、これは他の支援者も始めてから使える手です。同じ施設内でも支援者ごとに得意な質問や、ご利用者とのセルフケア支援の仕方は少しずつ違うところがあります。そこで、時々でも他の支援者のセルフケア支援を横から見せてもらうのです。すると「おぉ、この報告に対してこの確度の質問かぁ」と自分の支援の仕方との違いに気づくでしょう。カウンセリング職は個人プレイになり易いのですが、こういった工夫をすると研修などをせずに、全員がお互いに賢くなることができますからお試しください。

3)本人チェックと周囲からの見た目が違う時
前回、他のご利用者が電気をパチパチするたびにイライラして、言動が荒くなってしまう知的障がい方のお話がありましたが、その続報です。この方も3週間を経て、セルフチェック、報告相談まで随分スムーズにできるようになったそうです。また、他人の電気パチパチで自分がイライラし言動が荒くなるというメカニズムにも気づけるようになり、言動を荒くしないように気を付けるようになったとか!すごい進歩ですね。ただ、周囲からはまだイライラしているなぁと感じるのに、報告を受けるとその自覚がセルフケアシートに反映されていないため、ご支援者としては「本当にわかっているのか?」と感じるそうです。

まずは、他のご参加者にどんなアイデアがあるか聞いてみると次のような素敵なコメントがありました。
「本人と周囲でイライラレベルの認識が違うのかもしれないため、本人はイライラ対処をしているというのであれば「イライラをどうやって抑えているの?」と質問する。必要なのは評価ではなく、本人の頑張りを応援すること。」
素晴らしい考え方ですね、僕もこれが良いと思います(笑)
一応僕が回答したのは「相手と自分の見立ては違うのが前提です。相手はイライラしていないと思っていても、周囲はそう感じているのだ」と言うことを知ってもらうには「あなたはイライラしていないんだね、でも僕にはいつものあなたより少しイライラしているように見えたんだ」と伝えてあげます。これをフィードバックと言います。嫌な言い方にならない工夫は必要ですが、使いこなすととても便利な手法です。

4)ご利用者から「支援者が未熟なのに・・・」という指摘
一緒に取り組んでいるご利用者が、自分でこだわっていろいろと検索するところがあり、4bunnno3のHPも調べたとのこと。その中で自分のご支援者が「初級編」の勉強をしている最中であることを知り、「支援者が未熟でいいのか」と言われたそうです。おぉお、鋭い指摘ですね。。。
これに対しては過剰反応せずに「そうなの、私もまだ初級者なんだ。でも講師からは「誰でも最初は初心者だから、ご利用者と一緒に学んで成長してください」と言われているの。だからどうしても私が初心者で嫌なら辞めても良いし、一緒にやってみてもいいと思ってくれるなら続けましょう」と話すと良いかと思います。

ご質問回答は以上です。
そのあとまだ使っていなかった資料について説明をしましたがここでは割愛しますね。そうこうしているとあっという間に研修終了のお時間になりました。
皆さんに3日間の研修のコメントを頂きました。

・今まで独自にセルフケアに取り組んでいたが、浅いものだったと感じる。今回
 学んだものに切り替えたところ、成果がすぐに出始めた。
・習慣化を支援することができ始め、支援の仕方に自信が付いた。
・まだ3週間のところで研修は終了するため、まだ独り立ちできていないと感じる
 ものの、講師も含めて1期生のメンバー専用のチャットルームも用意され、この
 先3か月サポートを受けられるのはありがたい。
・セルフケアの話を聞いたときに、これをご利用者に届けたいと思ったが、実際に
 取り組むと難しい所もあった。それでも引き続き取り組んでみたいと思えている。
・知的障がいの方にどこまで適用できるかと考えていたが、受講してご利用者への
 アプローチや関わり方が変わることで、深く向き合うことができ始めている。

皆さんそれぞれ、学ぶだけでなく実践しながら理解を深めて下さっていることが分かります。これで、3日間のセルフケア支援マスター初級編 1期生終了です!
最後は皆で画面越しのハイタッチをしました。
ご卒業おめでとうございます

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