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第24回 4bunnno3サロン
「ゼロヒャク思考な方の対応の仕方」

2021.12.20

report

就労・定着支援に関わる方が相互に気づきを高め、学びを深める4bunnno3サロン、
第24弾を実施しました。早いものでもう年内最後のサロンでした。

今回のテーマはテーマ:「ゼロヒャク思考な方の対応の仕方」

最近、企業や福祉の現場の方からのご相談で多いのが「支援対象の方が極端な思考に陥っていてどのように対応して良いか分からない」というものです。
やると言ったら完璧さに固執し、少しでもできないところがあれば価値がないというような極端な思考の仕方をゼロヒャク思考やゼロサム思考、または白黒思考と言います。

そこでの今回の4bunnno3サロンでは、ゼロヒャク思考の方の対応の仕方について情報交換しました。

【ゼロヒャク思考の事例】
ゼロヒャク思考と言われても、イメージが湧かない方もいるでしょう。また出現ケースは様々です。そこで、ご参加の皆さんが今までに出会ったゼロヒャク思考の事例を共有して頂きました。

・雑談の場で「皆さんにはこういうことができるようになって欲しい」と話をしたと
 ころ、自分はそれに該当しないと感じたご本人が「私はいらない人だと言われた」
 と捉えて、モチベーションを大きく下げた。
・同僚の言動を見ていて「あの人は自閉症に違いない」と決めつけてしまい、周囲も
 巻き込みその前提で関わろうとする。「違いますよ」と伝えても、「その診断は
 おかしい」と自分の判断を変えることが難しい。
・他人のミスを見つけた際に、その人がチームの足を引っ張っている、自分は上手く
 やっているのにあの人がいると私は被害を受けるとまで考えてしまい、チームワー
 クが崩壊する。
・注意された際に「自分はダメだ」と考えてしまい、心が折れる。
・自分のやり方が正しいと捉えており、変更を求めても聞き入れられず、上司とトラ
 ブルになっている。
・やっと就職しても現職で要らないと言われたと感じ、すぐに転職をしたいと相談し
 てくる。
・高学歴で官僚からキャリアをスタートしたが、人間関係に課題がありいずれの組織
 にも馴染めず、転々とするうちに福祉サービスをうけるようになった。その際、
 提供された業務に嫌悪感を示し「これは自分のすべき仕事ではない」と反発する。
・苦手な人がおり、その人に対して強い抵抗感を示す。改善を図るもうまくいかない
 ため、今では両者が関わらないでよいように調整している。
・信頼していた支援者のことしか聞かなかった方が、その支援者とトラブルになった
 際にサポートに入ったところ、それ以降は私の言葉しか聞かないようになり、他の
 支援者の言うことを聞かなくなった。(だれか一人と強い依存状況を作ろうとする)
・周囲が雑談していると「あの人たちは一生懸命に働いていない」と決めつけて不信
 感を持ってしまう。「時には雑談も必要なコミュニケーションである」と伝えても
 受け入れてもらえない。
・他の人への支援対応の仕方を見ていて「あの対応の仕方は甘い、もっと厳しくすべ
 きだ」と支援方法に介入してくる。
・頑張り過ぎる、責任感が強い傾向があり、なんでも引き受けてしまい、結果処理で
 きなくなる。その時に助けを求めたり人に伝えたりできず、トラブルに至る。
 責任感から自分を攻め離職することを繰り返す。

【ゼロヒャク思考の方によって受ける影響・困りごと】
ゼロヒャク思考の言動は、周囲や上司、チームにどのような影響や困りを与えるか募ると以下のようなご意見がありました。

・他者との協調関係が、構築が難しい
  その結果、単独の業務を任せるしかなくなる(任せられる仕事が少ない)
  その結果、「私は差別されている」と感じることも
  その結果、ご本人はメンタルを病む。
・周囲がご本人と話すときに、非常に注意を払う必要がある(気軽には話せない)
  それでも話をしてみると、トラブルになる
  その結果、ご本人と話すことが辛くなりマネジメントや同僚がメンタルを病む。
・トラブルや相談が多く、マネジメントにパワーが取られる。
・ご本人は仕方なく組織内異動や転職を繰り返す。
・ご本人が組織内で孤立していく。
  その結果、新たな居場所を探しに行くが、そこでも同じことを繰り返す。
・一度解決したことと同じこと問題を何度も繰り返すため、本人も周囲も疲弊する。
・確認行動が多く、業務のスピードが遅くなりがち。
  同僚に比べて業務処理量が少なくなり、他人比較からモチベーションが下がる。
・他人や自分の評価や対処に納得できず、解決に至らない。

【ゼロヒャク思考への処方箋】
ゼロヒャク思考の方にどのような関わり方をしているか、どんな成功体験があるかを聞いてみました。

・本人と問題になり易いことは、物理的に距離を取れるように配慮する。
・本人に伝わりやすい、理解しやすい方法でのコミュニケーション手法を使う
 (聴覚情報と視覚情報の両方を使う)
・他人比較ではなく、昨日までの自分との比較を促し、そのことをベースに成長を
 褒める。
・良くないこと(BAD)視点ではなく、GOODやMORE(もっと良くなること)
 についてコメントをする文化を作る(自己肯定感が上がるように関わる)
・支援者は、ご本人は急には変わらないことを理解し、ゆっくりと変化成長すること
 を見守る。
・過去の経験から否定されて生きてきた方は防衛反応として周囲にきつくなりがちな
 人もいることを知っておく。
・本人が環境や関係を安全と感じると、関わり方が変わることもあると知っておく。
・今までご本人が言われてきたであろう言い方(否定やダメ出し)はせず、たとえ話
 など本人が聞きたくなる言い方を工夫する。
・社内にゼロヒャクに陥る場面で選べる選択肢を集めておく。
・ゼロヒャク含めて、個人の困りやその打開策を社内で共有・閲覧できるようにする。


ここまで皆さんのお話を聞いて、僕も資料を使っていくつかお話をしました。その中の1部をご紹介します。
ゼロヒャク思考も含めてメンタルの症状は大抵コミュニケーションに障害が発生します。このコミュニケーションですが、多くの方が「話し方」や「聞き方」にばかり目線が向きますが、次のように捉えるといいかもです。

■コミュニケーションは「行動選択」の結果
外部刺激があると、人はなんらかの反応を起こします。たとえば「イイコト」という刺激があると「笑う」とか、「ワルイコト」があると「泣く」などですね。例えば泣いている人になぜ泣いているのと聞くと「あいつが悪いことをしてきたから」と言うようなケースがありますよね。良く見かけますが実はこれ、嘘が混じっているんです!
「ワルイコト」と「泣く」は直結していません。その間に本当は選択肢があって、その選択肢から選ぶ権利を持っています。だから「泣く」は本人が選んだ選択なのです。人は習慣化することで、徐々に選択を放棄します。その先に、外部刺激→反応 という反射的な直通ルートが出来上がっていくのです。

■反射的な「選択」のクセを知る
ゼロヒャク思考の方を見ていると、多くの場合反射反応に見えます。つまり選択肢がない状態ですね。トラブル中には話ができない可能性が高いですが、
⓪このゼロヒャク思考のトラブルから抜け出したいかどうか確認する。以下、本人が
 希望する場合は実行し、本人が望まない場合は上手くいかないのでやりません。
①落ち着いた状態で、この選択肢があるという知識を教えます。
②本人が陥りやすい外部刺激を取り上げ、反射反応をクセとして共有します。
③世の中にはどんな選択肢があるかを知識として知ります。(他人に聞いてみるなど)

ここまでがお膳立てです。
その後実際に 刺激→反射反応 が見かけた際に以下のように関わります。

④「さっき、クセが出てたように見えたよ」とFBをします。これを繰り返すことで、
 自己認識を深めるお手伝いをします。
⑤そのうち本人から「さっきクセが出ちゃいました」と報告をしてくれるようになり
 ます。事後気づきではありますがこの段階でクセを認め、自分でクセの出現に気付
 いていますので、相当な成長です。
⑥最終段階では「さっきクセが出そうになったけど、踏みとどまった」と事前に対処
 できるようになります。

ここまで一朝一夕にはたどり着けませんので、何か月も時間が掛かると思います。大変なことには変わりませんが、何かのヒントになれば嬉しいです。

ご参加者の方からは
「自分もゼロヒャクになる時がある」
「障がいの有無関係なく、社内でゼロヒャクになっている場面をみることがある」
「ゼロヒャクは,なり易いかどうかの確率の違いかもしれない」
 など、誰にでも発生したり遭遇するものだというご意見が相次ぎました。人の思考行動のクセは少なからず誰にでもあり得ますね。ここを乗り越える力を手に入れるのは組織運営において大切なことなのかもしれません。

本日のレポートは以上です。
皆さま素敵なXmasとお正月をお過ごしください。


<次回予告>
第25回4bunnno3サロン 2022年1月15日 午前10時00分
テーマ:「悪いことばかり考えてしまうのはなぜ?」

メンタルの疾患がある方は、悪いことや良くないことばかり考えてしまう傾向にあります。周囲が「そんなことないよ」と言うとその時は納得しても、またしばらくすると同じような発言や行動をするため、周囲は関わることに疲れていく。そして本人も自己肯定感を失っていきます。

そこで次回の4bunnno3サロンでは、悪いことばかり考えてしまう方について情報交換したいと思います。また本件を脳メカニズムから解説する時間も設けてみます。ご興味のある方は是非ご参加ください。

 ~情報交換内容~
  ・悪いことを考えるループ事例
  ・対応の仕方 ~成功例と失敗例~
  ・講義:脳のメカニズム


来年3月までの4bunnno3サロンの日程は以下の通りで、テーマは未定です。ご希望のテーマがあればお寄せください。

<今後のサロンスケジュール>
第25回4bunnno3サロン 2022年1月15日 午前10時00分
第26回4bunnno3サロン 2022年2月5日 午前10時00分
第27回4bunnno3サロン 2022年2月26日 午前10時00分
第28回4bunnno3サロン 2022年3月19日 午前10時00分


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既存・新規いずれの方もご参加連絡お待ちしております。

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