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年一回恒例のK-STEPの
基礎研修@神奈川県を実施しました

2022.03.14

report

神奈川県ではK-STEPを就労定着手法として採用しているため、ここ何年も一緒に年に一度の研修を実施しています。始めた当初は1日限りの集合研修であったため、内容は現在の初日に該当する部分だけでしたが、昨年からは3時間×3日間の合計9時間という、この手の行政研修としてはかなりの力の入れ方です。

これを無料で受講できるとあって、今年も90名の募集枠がいっぱいになりました。

3日間の内容とご受講後評価は以下の通りです。
初日概要+KSTEPシートの作り方:4.5点(昨年4.6点)
2日目運用の仕方:4.3点(昨年4.4点)
3日目就活へのつなぎ方:4.3点(昨年4.5点)
※評価は5点満点です。

おおぉう、全体的に昨年より0.1点ほど下がっていますね(;・∀・)
すでにこれから神奈川県と来年度に向けた話し合いを始めますので、課題を見つけ改善を図りたいと思います。

それでも沢山アンケートで嬉しいお言葉を頂きましたので全部はとても無理ですが、回別にいくつかご紹介します。

【研修に参加した理由】
・障がい者支援の知識を増やすため。自身の支援力を向上させるため。

・職員の業務経験やスキルなどがバラバラで、支援の質を担保しながら進めていく上で、統一された支援方法の導入を検討しているから。

・担当している利用者が、いまいちセルフケアの重要性や、シートの効果が得られないと仰っており、本研修に参加し、その方に何か伝えられるようなことを学べたらよいと思ったから。

・生活フェーズに課題のある利用者や、「何かわからないけどなんとなく不安」だったり「なんとなく不調」といった体調報告が多く、自分自身の状態を理解する段階に至っていない利用者が多かったため、K-STEPを導入して課題を解決していきたいと考えたため。

・自分自身のストレッサーが何か、どのようなサインがあるのか、日々の対処をどのように実施しているのか、把握が難しい方に出会い、支援者としてできるツールを探していたから。

・支援する中で、慣れた施設内では一見問題がない方でも、自分の不調を理解できてない方が多い。時間をかけて、自分を客観的に見る習慣をつけ、就労に向けて取り組みたい。

・就労移行支援に通う事もままならない(生活リズムが乱れている)人の多さに、どうしたら立て直せるのか方法があれば知りたいと思ったから。

・就労継続支援事業所だが、一般就労が出来ても、数か月で問題を起こしたり、体調を崩して辞めてしまったりする方が少なくない。せっかく一般就労できたので、一日でも長く働けるように何かサポートが出来ればと思ったから。

・定着支援を行っていく中で支援者に頼りっぱなしではなく、企業と本人で雇用を続けていくためにはどうしたらいいのか、ナチュラルサポート形成の一つの足掛かりにしたいから。

・特例子会社で障がい者採用と定着支援を担当しており、精神障がい者の雇用も進めているが、体調を崩し休職や退職といったケースが知的障がい者や身体障がい者に比べ多くなっていることを踏まえ、精神障がい者が安定就労するためのツールとして役立てたいと思ったから。


【初日感想】
・シンプルでわかりやすく、日々に時間がかからなそうなところが魅力的。

・状態を把握する事で客観的に自身の課題を見つめる機会となる。

・言葉の少ない利用者の方にも説明がしやすく、また、自分の振り返りもできる。

・就職後のセルフケアに慣れていただく練習ができるのではないかと感じた。

・精神面の波を把握するためだけでなく、今後働く上で、対処方法を身につけるなど、企業様とご本人にとってメリットになる点があると感じた。

・事業所の方とも連携しやすい形として、本人の同意を得てだが共有できることで支援につながっていくと思う。

・セルフケアが出来ることによって、生きやすさにつながる。

・セルフケアは再発予防につながり、当事者の方自身でできれば生活の幅が広がると思う。

・脳のメカニズムとして、考えることはやめられないこと、事実でないことが見える力があるというお話。

・精神障がい者によくありがちで、就業中にリカバリーができず、体力や集中力が途切れ、ミスをし、指摘され、落ち込む・・・等悪循環が発生することがあるので、簡単なところから始められそうだと感じた。

・「いまここ」の話を聞いて、不調の際に過去にとらわれていることなど考えていなかったことを知れた。

・精神障害がある方は、スマホのエコモードと同じと仰ったこと。充電方法を知らないとのことで理解が深まった。利用者の方に、充電方法を一緒に探しましょうとお伝えしていくのが良いのかなと学べた。

・北村さんが障がい名を使わずに講義をされていた事が、私のとらえ方と同じでとてもしっくりきた。障害特性はその人を理解するうえでとても大事だがそれにとらわれ過ぎてはいけないと思っていたので、精神障害の方の理解にとても役に立った。

・心の骨折はレントゲンに映らない。心の状態をいかに共有しやすくすればいいのか、そのためにはどのように進めていけばいいのか様々な例を用いながら具体的で分かりやすく理解することができた。

・利用者の「4つのセルフケアスキル」は、分かっていたようで、きちんと整理されていなかったように思う。「配慮」は「甘え」ではなく「できるための環境整備・工夫」というのも促せたらと思う。支援者の「4つの支援スキル」も、改めて考えると、必要なのに後回しにしてしまっている対応も多いな、と気づかされた。

・セルフケアの実施は就職のためだけではなくその先の就労定着において重要であるということが盲点だった。日々支援を行っているとまずは就職をさせなければという思いに焦点が向きがちになってしまうので、その先を見据えた定着の視点を持って支援をしていきたい。

【2日目感想】
・利用者との面談場面で、本人の抱える悩みや不安を最後まで傾聴していることが多かったが、本日の講義を聞き、それは本人のためでは決してなかったのだと学んだ。今後は端的に報告するスキルを利用者と一緒に学んでいきたい。

・「一度の高い質」よりも「薄くても高頻度」の方が効果的であるという言葉は印象に残った。支援者として、時間をかけた面談が自己満足になってしまっている時もあるので、あくまで目標に対して何が効果的かをもう一度考える良いきっかけになった。

・ロールプレイを通しての解説があり、具体的な運用の仕方がイメージでき、とても分かりやすかった。気付きシートに記録していくことで、対処法を身につけ、セルフケアできるようになっていく仕組みになっているので、取り入れていきたい。

・「1日1つの多様な質問」は、スタッフの腕が磨かれる機会になると思うので、継続した支援の中でよりご本人が引き出せる分かりやすい質問を頭に置きたいと思った。

・支援者によって気づきのポイントに違いがあるので、良好と注意のセンターピンを見つけていける観察力が必要ということがとても印象的だった。

・実際の就労を想定した”報告”の訓練を、セルフケアシートを使用して行えるといった利用者様だけでなく支援員のスキルアップや視点の転換や広域化に繋がり、非常に充実した時間となった。

・日々の報告の大切さもあるが、1か月などまとまったときに振り替えることで体調の波やどんな症状が出たかを利用者様やスタッフが知ることができ、自己理解につながると思った。

・GOODとMOREの発想が今までなく、特にMOREについてはこれからも常に考えながら支援していきたい。

・「まずやってみる」という言葉を何度も仰っていたのが印象的だった。考えるだけではなく実際にセルフケアを使ってどうだったか、の振り返りが大事だと感じた。

・思うだけ、考えるだけでは人は変わらない。行動し、習慣にすることで人は変わる。良好サインが良すぎると、反動の可能性があるため、その傾向を見ることが大切。セルフケアトレーニングは、職員も一緒になって行うことで、やらされ感が少なくなる。

・Kステップは、自分自身が好きになるための一つのツールであるという話。また、本人様だけが取り組んでも意味が無く、支援者もシートから読み取る力、Kステップアセスメント能力が必要だと思った。

・安定した方こそ継続したほうが良かったり、働いてから波がでるという話。就職が決まっている利用者に今後どのような変化があるかみていきたいと考えている。

・悪化の段階でどうすべきか聞いても返事が出来ない。悪化時の対策は、良好な時に考えてもらうことがポイント。

・利用者様が自分の状態像を把握する環境設定や文化をこちらから作っていくことが必要とお話。今の利用者様との関わり方を振り返ると、全員のK-STEPを把握してない所があり、適切なサービス提供が出来てないと感じた。

・特例子会社の管理をしている。障がい者のストレスに対する反応が大きい理由が分かったような気がした。又、処置やケアにより安定化させることが出来そうで、周りのラインケアと当人のセルフケアの重要性、継続が大切と学んだ。

・この節で話された自己理解や我慢、共依存関係の解消など、社会に出たら必要なことが詰まっていると感じた。K-STEPでこれらが身につくことで定着につながることは納得。私は企業側の人間だが、K-STEPでセルフケアトレーニングができている方の方が安心して採用していけるのではないかと感じた。私自身、福祉側で支援者を経験してきたので、支援者の大変さもわかるが、支援者の方には勧めたいと思うし、自社でも可能な範囲で取り入れられればと思った。

【3日目】
・就職活動で作成する書類や、就職活動の考え方が目からうろこだった。

・面接時に書類を見ながら話した方がいいというお話は印象的だった。これまで障害特性上の配慮として必要な場合のみメモを持参するように利用者様に伝えていたので、今後は積極的に活用していきたいと感じる。

・就職活動をしていくうえで、自分をお買い得と企業に思わせることがどれだけ大切なのか感じられた。

・今回本人側が「企業を選ぶ」という考えを聞いて、本当にその通りで、企業に選んでもらうための自己PR,面接になっていたかなと反省した。本人が幸せになるための支援を念頭に置いて今後の業務に役立てていきたい。

・企業に配慮を理解してもらっても、時間の経過とともに配慮は忘れられてしまうことがあるため、自らが必要であることを伝え続ける必要があること。

・就労を続けることが目的であれば、配慮事項があってもそれを一緒に考えていく姿勢のある企業に勤めた方がよいというお話。確かに現在安定して就労継続している卒業者の働いている企業はそういうところだった。障害者雇用が進む中で、企業を見る目が支援員に求められると感じた。

・就職活動に移ると体調管理はできているということを前提に、つい業種・職種研究、面接対策に力をいれがちだが、スタッフは「ラインケアの意識がある雇用現場を見つける」「セルフケア能力を発揮できる環境を整備する」視点を忘れず、利用者様にも意識してもらうことが大切であると分かった。

・ピアの方と一緒に働いているが、やはり合う人と合わない人が時々おり、そこで振り回され体調の波が大きくなることがあり、6HNの考えで当てはめてみると他人が源泉の部分に振り回されていると感じた。今回の研修は利用者への支援にはもちろん、一緒に働く同僚との関係性でも使える部分だなととても勉強になった。

・就職定着が目標ではなく、「その方を幸せにする責任がある。」という内容は、とても理解できる内容であるのに、自分がそれをはたしてできているのか?と考えさせられる内容だった。
・利用者さんの幸せのためにしている仕事だと誇りをもって言えるようになりたいと思った。なぜ就労移行に通うのか、なぜ就職するのか、そこに日々の時間を使っていく。そう考えると毎日の積み重ねにKステップを導入する事がとても重要だと理解した。

・パネリストの方々の、熱い意見と議論がとても印象深かった。

・本編に入る前にメンバーの方へ様々な投げかけをされていたことが印象に残った。オンラインの特性上、臨場感が薄れる事もあってはじめは正直かったるさを感じてしまったが、一方で心に響く部分もあって、後の講義へ繋がった時により腹落ちしやすい感覚はあった。

・オンラインで本当にわかりやすかった。全体に話しているはずなのに北村さんと私自身が対話しているように思った。

・オンライン研修だったが、ペースも早すぎなくてK-STEPについて理解が深まり、またメモを取ることもできた。また、グループワークを見ることで自分だったらどう考えるか考える機会にもなった。

以上です。今年も沢山のご意見ありがとうございました。

PS1
今年もコロナ対応で、オンライン研修を選択し、昨年同様配信を(株)テクノイケガミさんと㈵かながわ精神障害者就労支援事業所の会が完全バックアップしてくれました。
初日はスタッフも出演者も全員がテクノイケガミさんに集まったのですが、2,3日目はオミクロン対応もあって、全員が自宅やオフィスから参加できる形式に変更しています。
皆さんノウハウが溜まり、どんな環境でも良い配信ができるようになっていることに感謝です。

PS2
行政とご一緒に企画を遂行するにあたり、困りごとになりがちなのは、3年に一度の担当者のご異動です。昨年まで3年間ご一緒した梅田さんは自分が異動になることを見越して、昨年からご自身の後輩である香野さんに現場の運営を全部任せながら自分はバックアップに回って後継者育成をしてくれていました。梅田さんは想定通り前年度で移動されましたが、本年度はその甲斐あり神奈川県と4bunnno3のタッグは最強だったと感じています。来年も同じ面子で実施できる研修はさらに素晴らしいものになると思います。

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