TOPICS

チームの信頼を育む研修を実施しました

2022.07.05

report

PAL教室さんは、埼玉県朝霞市に3つある児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の事業所です。
ことの発端はサビ菅協会さんから、PAL教室さんがコミュニケーションに関する研修ができる講師を探しているというご紹介でした。

コミュニケーションに課題があるという場合、確かに問題はコミュニケーションにもあるかも知れませんが、本質はそこではないことも多いように感じています。例えると首の調子がおかしいといって、首をマッサージしても意味がなく、背中や腰の問題にアプローチしないとダメという感じでしょうか(たぶん僕と同じ年齢の方には理解して頂けそうな例えですが、若い人には通じないかも。。。)
そこでご担当の方をご紹介頂きもう少し話を伺ってみました。

詳細をお伺いすると、実は全体的には現場の雰囲気は良いとのこと。ただ、時折言わなければならないことを伝え合うことに遠慮があったり、我慢する場面があるようです。
僕はこの問題の中心に「信頼」というテーマがあるように思いました。
そこで信頼をテーマにした、学びとグループワークの研修を作り、まずはオンラインでリーダークラスの方だけに研修し、その後3拠点を行脚して全スタッフに対面で研修を提供させて頂くことにしました。

普段から時間を取って定期的に社内での勉強会を実施しているそうですが、外部から講師を招くのは初めてとのことですから、責任重大です。それでも皆さん学ぶのがお好きな方が多いらしく、話には集中し、グループワークでは笑い声も絶えず、楽しく取り組んでくださいました。

信頼のグループワークな内容を少しご覧に入れましょう。
まず、相手と私がお互いに信頼関係を結ぶには次の4つが必要であることを学びます。

その上で、4つ観点で自分に当てはまるタイプを挙げてもらいました。
Aタイプ:相手から信頼されにくいタイプ
Bタイプ:相手に私から信頼されてないと勘違いされるタイプ
Cタイプ:相手を信じるのが苦手なタイプ
Dタイプ:相手から私は信頼されていないと思い込むタイプ
お互いの信頼タイプを共有することで、「えぇ!? あなたそうだったの!」と盛り上がります(笑)

次にそれぞれのタイプごとに支援の原則を使って、グループワークをして頂きました。
支援の原則とは、僕の研修ではおなじみで、困りは共有した上で ①本人の努力、②周囲のサポート、③環境の工夫 この3つの観点で考えると上手くいくというものです。

4つ全部で書き出すとスゴイ量になるので、今回3拠点の皆さんで一番多かったDタイプについて、PALの皆さんが考えた内容をご紹介します。

Dタイプ:相手から私は信頼されていないと思い込むタイプ
このタイプは、実は相手はそんな風に思っていなくても「私は相手から信頼されていないのではないか」ということが気になってしまうタイプです。自己肯定感や自己有用感が少し低いのかもしれません。

■本人の努力
・毎日できる役割をつくり一生懸命実行する
・私なんてと思わない
・できたこと嬉しかったことを紙に書き出す
・深読みしすぎず、素直に話す・伝える
・自分からありがとうを言う
・自分の得意や良いところを探す 
・自分で自分を褒める(声に出して)
・自慢する、自慢できる相手を増やす
・大丈夫と自分に声を掛ける
・人と比較しない
・ハードルを下げる
・私って信頼されてないかなと聞く(相手の答えは常にYES)

■周囲のサポート
・毎日一回「ありがとう」をこころを込めて伝える
・いっぱい褒める、具体的に褒める
・得意な仕事を任せる
・困った時に頼る 
・役割分担を明確にする
・勘ぐられる言葉を使わない(素直に言う)
・良いことがあったらハイタッチする
・お互いの良い所や気になる所を伝え合う
・笑顔

■環境の工夫
・本人が頑張っていることを、目に見えるようにする
・誕生日会やお茶会をする
・感謝の手紙を交換
・相性の良いパートナーを置く

研修後に受講者全員からメッセージを頂きました。これまたスゴイ量なので一部を抜粋してご紹介します。

・困っている時はすぐ確認。わかったつもりの雰囲気は出さないように注意します。
・自分の弱みを見せることは、組織の強みになると感じた。
・結果ばかりに目が行きがちで、相手の困りに考えが及んでいないことに気づけた。
・自分や仲間の考え方のクセに気づけた。
・アイメッセージで話すことは意識していたが、問題は自分だけでなんとかしようと考えがちなので、困ったら共有や周囲のサポートももらえるように意識していきます。
・職場だけでなく、ご利用者や保護者の方との関係にも生かせる学びでした。
・職員全員がより良い環境に向けてお互いに信頼することが大切だと思った。
・他のスタッフが信頼についてどのように考えてるのかを知るだけでも有意義だった。
・ついつい「大丈夫?」と聞いてしまうけど、相手は「大丈夫」といいがちで、それでおしまいにしていた。もう一歩踏み込んで相手の立場に立った支援を考えたい。
・スタッフ全員で受講できたので、今後チームに困難なことが起きた時、気軽に困りを発信し、また皆は自分ごととして捉えてくれそう。
・みんなが安心して、楽しく働ける職場にしていきたい。
・信頼は大切なことだけど、学ぶ機会は今までなかった。
・私は自己肯定感が低く、相手から信頼されてないんじゃないかと考えることが多かったけど、自分の努力で出来ることや周囲がサポートしてくれること、環境の工夫ができることを話し合えたので安心しました。
・自らの立場をよく考え、相手にどうして欲しいか、また逆にどうしてあげられるかを話し合いの中で伝えられた。実践していきたい。
・私は自分の事を後回しにしがちです。自分がどうしたいと思っているのかを周囲に伝えられるようになりたい。
・寄り添うこと、寄り添ってもらうことの大切さやありがたさを学べました。
・困りは抱え込まず、相手と共有し一緒に解決策を考えることを心がけます。
・今の職場は何でも話し合える職場だと改めて感じられて嬉しかった。
・自分は気遣っているつもりでも、相手が本当はどう思っているか聞いてみます。
・もっと相手を積極的に、恥ずかしがらず褒める習慣が必要だと思いました。
・思ったことを不安なく口に出せる雰囲気や環境つくりを大切にしたい。
・子供達には「人と比べなくていいんだよ」と教えながら自分はそれができていません。大人も未完成なんだよ、完璧を求めすぎなくていいよと伝えられればと思います。
・いつも一緒に働いている先生方と意見がちがう場面があり、どういうサポートをして欲しか直接聞くことができました。
・職場でも家でも、自分の思いを伝えることが大事だと気づかされました。
・信頼しているから思いやりの気持ちを忘れることがあります。他人ごとではなく自分ごとにすることを改めて考えさせられました。
・HELPを出せない子もいますが、その時の関わり方も学べました。
・本人の努力と周囲のサポートの合計が100点にならなくていいという考えが心に響きました。むりをせずそれぞれができることを目指します。
・困っても人に言うのを避けがちです。上手でなくてもその場で伝えることで自分の気持ちを再確認することになりそうです。
・今の職場は信頼できる職場です!

どの施設も皆さんの笑顔が眩しく、話し合いの時の声が大きく、沢山笑い声が響いていました。素敵な施設の現場の皆さんのお役に立てて、大変うれしい時間でした。

一覧へ戻る