TOPICS

最近増加している障がい者雇用に対する企業支援
就労定着サポート編

2023.12.12

know-how

前回に引き続き、雇用企業で実際にサポートしている事例をご紹介します。
前回の「雇用前実習サポート編」では、セルフケアスキルができる人材を採用するという視点でしたが、ご相談頂く多くの企業さまでは、

「すでに採用している社員の方でトラブルがある場合はどうすれば良いの?」というお悩みがあります。


話を伺うと、採用段階では問題がないと思われていました。しかし、実際の就業が始まると、多くの場合、以下のような問題が発生しています。

① 事前に想定していた業務で能力を発揮できない
② 上司や同僚とのコミュニケーションが機能しない
③ 勤怠に課題がある

この状況が長引くと、上司や同僚の方やその障がい者の方が、それぞれ一緒に就業を続けることに対してモチベーションを低下させます。沢山お手伝いしていて感じるのは、モチベーションが下がり過ぎた段階では解決が難しいのですが、その途中であれば立て直せることも多いですね。

上記で挙げた3つの事例をもう少し詳しく見てみましょう。以下では障がい者の方をAさんと表記します。

① 事前に想定していた業務で能力を発揮できない
多くの事例では実際にAさんの業務スキルは、上司や同僚が想定していたものより低いと感じます。しかし、一度その事実を受け入れた上でAさんのスキルをどのように引き上げるかという視点に移すことができれば、この問題は改善を始めます。
改善視点で必要なことは、
1)Aさんには何ができて、何が難しいのかという特徴理解
2)Aさんの成長のために「本人の努力」「周囲のサポート」「環境の工夫」で、
  無理なくそれぞれに何ができるのかというイメージの共有
3)できていないこと(BAD)ではなく、できている事(GOOD)や
  もっとこうすると良い(MORE)という応援の姿勢

Aさんにもとより就業に対するモチベーションが低い場合は、時間が掛かりますが、僕がお手伝いするケースでは、採用段階でそのあたりはしっかりとチェックしていることが多いようで、上記の改善視点を職場が大切にしてくれることで、数か月でAさんの能力アップや生産性の向上を実感して頂いています。

② 上司や同僚とのコミュニケーションが機能しない
具体的には、指示をしても理解してくれない、同じ間違いを繰り返す、報告をしてくれない、どのように話しかけて良いか分からないなど、各現場で様々な状況が起きています。ここで感じるのは、対話ができていないということですね。詳しくは「会話と対話」で検索すると良いのですが、ここでは僕の言葉で簡単にその違いをまとめると、

     会話:伝えたいことを言葉にして相手に伝える
     対話:相互の理解を一緒に深める

こんな感じです。上司や同僚の方には自分たちのやり方や仕事の進め方があり、Aさんに同じようにやって欲しいと考えがちです。しかしAさんにはその中に難しさや困りがある場合、うまく進めることができず、結果それがコミュニケーションに表出することが多いと思われます。つまり、②の問題も①の問題が姿を変えているだけなのです。コミュニケーションの関係性を改善したいという視点に移行することができれば、①と同じ手法で問題を解決することができます。

③ 勤怠に課題がある
この問題は少し厄介な可能性があります。元より生活リズム(睡眠・食事・運動・ストレスコントロールなど)を安定させる前に就業に至っている場合は長引くこともあります。また、そもそも就業モチベーションが低い方の場合もその立て直しには時間が掛かるでしょう。しかし、一時的に勤怠に影響が出ているだけであれば、大本の問題を解決したり、セルフケアの視点をレクチャーするだけで、短期間で解決する場合も多いと感じます。この問題で僕真っ先に疑うのは、Aさんのエネルギー残量の低さです。
障がいがあるというのは、ない人より1.5倍から2倍エネルギー消耗が激しいというのが僕の持論です。モチベーションはあるのに勤怠に課題がある人のほとんどは、エネルギー残量がなく、うまく活動できなくなっていることに原因があります。
そこで、本人が1日、1週間で活動できるためのペースコントロールができるように支援します。具体的には定期的にリカバリータイムを設置すること、リカバリーできる環境を整備することなどです。就業モチベ―ションが高いAさんには上司や同僚の皆さんも応援をしてくれることが多く、エネルギー残量が高いとパフォーマンスが高い事も理解してくれるため、勤怠改善も数か月で改善します。

このように、多くの職場で起こっている就労定着の問題は、お互いの困りを上手に共有し、それぞれに無理なくできることを設定することで、ぐぐっと上手く改善し始めます。自分たちだけでは改善が難しい場合はお手伝い致しますので、お気軽にご相談ください。

一覧へ戻る