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就業前のリモート型企業実習の実力

2020.07.27

report

コロナ禍での就労移行の困りごとの一つに就業前の施設外実習、つまり企業実習をしてくれる会社が減ってしまったことが挙げられると思います。

就労トレーニングを終えた方にとっての登竜門である施設外実習ですが、僕も重視しています。
理由は、施設内のトレーニングと実際のお仕事には明確な差があるからです。

仮想JOB と リアルJOB

この差が大きいですね。
リアルJOBには、取り組む業務の延長上に利害の関係のある顧客がいるということです。食事を運ぶという行為を家のお手伝いでやるのと、居酒屋でやるのでは全然違いますね。

また、仮想JOBの場合は教えてくれる方もそこまで真剣にはなりにくいのですが、リアルで一緒に働く方はそれでご飯を食べているプロですから意識の差も大きいです。

精神障がい者トレーニングにおいて業務スキル以上に大切なのは、リアル職場環境で ホンモノの業務 を プロと一緒に就業する ことにおけるストレスが過剰になり過ぎずに生活を送ることです。

数日程度の実習ではこのストレスに誤魔化しがきくのですが、実際に社会に出るとずーっと続くこの環境の中でストレスを一定水準を越えない状態で保ちながら、能力を発揮することが求められます。この準備度合いを確認できるのが施設外実習です。

さて、話を元に戻します。
その企業実習がコロナ禍で受け入れ企業が激減しているらしいです。致し方無いこととはいえ、採用企業、求職者共に損失を負う事態です。困りましたね・・・

そんな中、期待されるのがリモート型の企業実習です。

とある企業で実施されているWEB型の企業実習の最終日に見学参加させて頂きました。
2週間で組み立てられた研修で、ご参加者は他の参加者とペアを組みながら、与えられた入力をこなし相互にチェックをするというのは、リアル企業実習とそん色なくできているようでした。

指揮命令者とだけやり取りをするのではなく、参加者同士でもサポートし合いながら業務に取り組むように設計されているのですが、面白いと感じたのは、ご参加者が ①チャット、②音声通話、③ビデオ通話 をその場面によって使い分けて利用していたということです。

 ①チャット:ちょっとした確認、指示など 
   → 気楽にできる、気が付いた際にすぐできる
 ②音声通話:話したほうが早い内容 
   → ③より気楽だが、①より込み入った確認ができる
 ③ビデオ通話:しっかり伝えたい内容 
   → 相手と相談、目で見て相手の状況が分かる

これらを使いわけることで、ご参加者はリアル対面より「コミュニケーションが気楽にできる」と感じる一方、手段を選択することで、「コミュニケーションのあり方や重要性をより理解」しているように感じられました。

まだまだ少ないリモート型の企業実習ですが、いくつかの工夫をすれば今までの企業実習以上に学びや気づきが手に入りながら、そして機会ロス(時間や場所、エリアなど)も減らせるでしょう。非常に可能性を感じた時間になりました。

実は僕も今回の企業とは別に現在リモート型企業実習の仕組みを構築中です。
発表できるようになったらまたお知らせしますね。

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