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第5回 4bunnno3サロン

2020.10.13

report

就労・定着支援に関わる方が相互に気づきを高め、学びを深める4bunnno3サロン、第5弾を実施しました。
新たに1名の方がご参加されました。今回は僕を入れて12名で実施しました。
毎回最初に全員が近況を報告するのですが、今まだになく悩んだり、大変な状況にあるご参加者が多く「ここにエネルギーをもらいに来た」と仰る方も(笑)

最初は恒例の僕のセルフケア講義です。皆様もどうぞご覧ください。

【社会で多様な力を活かすための セルフケアトレーニング⑤】
今回は少しアラカルト的な内容で、精神障がいの説明をする際に僕がここだけ抑えて置けば大丈夫と思っているポイント3つです。というのも、多くの専門家などが精神障がいの説明をしているのを聞くと、大抵病名から入って薬の話に展開します。「これ、一緒に働くことになる方わかるのかな」というのが僕の印象です。一緒に働く方に受け取って欲しいメッセージは「よくわかんないけど、そんなに心配しないで良さそうだね」という前向きさです。皆さんがこれくらいシンプルにわかりやすく話せるようになって欲しいと思っています。


最初は「メンタルの状態には段階がある」ということです。企業の方は大抵外部から精神障がいの方を採用することを嫌がりますが、それは社内に休職を繰り返すメンタルの方が多数いて、そのことも問題になっているという背景があるからです。ですから、休職を繰り返す方は医療ステージであるため、すぐの職場復帰ではなく別な方策が必要であること。外部から採用するのは就業ステージの方で、環境整備さえできれば安定して就労できることを話します。

次は「不安が強い人と知っておく」ことです。これは僕の蛇口理論で説明します。
目の前に不安1、具体的には震度2くらいの地震が起きたとします。その時僕たちの頭の中では感情を出す蛇口が少し開いて、不安を1だけ出します。脳内は不安1にはなりますが、環境が同じレベルの不安1なので、それ以上の悩みは出ません。ところが精神障がいの方は同じ状況で蛇口が "グワァッ!!” と開いてしまいます。そこから大量の不安が100出てしまう。僕たちも不安100になりますが、それは例えば震度7の地震の時です。彼らのしんどさは、環境は不安1とわかっているのに、脳内だけ不安100にされてしまことです。それだけでもしんどいのに彼らには次から次にコミュニケーションにまつわる苦しさが襲います。まず、対自分コミュニケーションで、自分と対話ができなくなります。なんで自分はこんなことになったのだという理由がわかりませんから、自分が許せなかったり、嫌いになりやすいのです。次に対人コミュニケーションで他人と話が通じにくくなります。対集団コミュニケーションとは、例えば自分だけ心臓がバクバクしていて周囲は平気そうだと、集団にいることがつらくなります。最後に対家族コミュニケーションで家族は分かって欲しいのですが、家族が一番理解しにくいということが起こりがちです。結果彼らは誰も味方がいないという経験をしてしまうのです。ただ、最初のスライドの通り回復してくることで、これらの症状が緩和したり、セルフケアのスキルを発揮することでそこまでつらくならないようにします。


最後は「疲れやすい」ことを知っておいて欲しいですね。僕の調べでは僕たちの1.5倍から2倍疲れやすいようです。彼らが8時間フルタイムで就業するということは、僕たちであれば12~16時間就業するようなものですから、ちょっとブラックかもです(汗)。
誰でも疲れると自分の良さが出にくくなり、良くない特徴が出やすいですね。これを僕はスマホのエコモード理論と呼びます。スマホも電池が減ると画面を暗くしたり通信を止めますね。精神障がいの方は電池の容量が少ない人です。ですからちょっと活動するとエコモードに入ります。皆さんが見ている彼らの良くない部分は、彼らの特徴ではなくエコモードの特徴かもしれません。どうすれば良いかはすぐわかりますよね。コマメな充電です。僕のお勧めは50分しっかり活動したら、10分間のリカバリータイムを設けることです。休憩ではなく充電するのです。次回はこの充電について話しますね。


【ディスカッション】
皆さんから4つ話したいテーマを出し、次の2つについてグループディスカッションをしました。
2つとも立場の違いで価値観に違いがあるのではという仮説から出たテーマでした。

1.就労移行・採用企業がそれぞれ相手に期待すること
就労移行は企業に支援が手厚いことを期待し、企業は就労移行に活躍できる人材育成を期待しているのではないかとの仮説ですが、これはその通りのようです。障がいの説明でも、できないことや避けたいことを説明する就労移行に対し、どうやったらできるのかを知りたい企業という視点の違いになりがちのようですね。この課題のポイントは「障がい受容」「働く意思」、そして「能力が発揮できる職場環境整備」ではないかとのご意見もありました。今回ご参加された方には支援者も企業の方も多くいたのですが、相手がどう考えているかは認識されており、その差を埋めようと努力されているようでした。違いはあって当たり前ですが、就労定着を実現するパートナーでもある両者が同じゴールを設定し、協力し合うことが大切ですね。因みにこれは僕が提唱する4ぶんの3メソッドでクリアできますから、ご興味ある方は是非読んでみてください。

2.本人、家族、医療、行政、支援者、採用企業それぞれの価値観の違い
主治医の先生の見立てとご本人の見立てと、就業現場での実態に差があり、就業現場では就業ステージではないのではないかと感じてしまうケースがあるようです。それぞれの立場で「現状の捉え方」や「ありたい姿」が違うことが起因しているのではないかとの仮説ですね。そもそも本人の現状を誰かがしゃくし定規に決めることは難しく、それを受ける側も他人判定を信用過ぎると問題に陥るようでした。キーワードは「コミュニケーション」ではないかと意見が出ました。それぞれの立場の人が本人と会話することで本人が自身の認識を高め、相互に情報を共有することでクリアすることを目指すということが、今回の20分の会話ででた方策です。

【参加しての感想】
・もっと時間を取って話をしたい、議論が尽きない、オフ会をしたい
・特例子会社は働きやすいことを目指しながらも、障がい者雇用が目的ではなく
 仕事を通じて社会に貢献する組織であることをもっと発信していきたい
・それぞれの立場で課題があり、まだ正解のモデルができていないと感じた
・それぞれの組織に多様な立場の方が参加することで視点の交換ができると思った
・お互いにパートナーのことを理解し、情報交換することが大切だと思えた
・支援者自体のセルフケアが不足していることもあり、改善を図りたい
・今回のように違う立場の方が意見交換をすることが大切だと思う
・当事者のHAPPYを作ることで、支援者のHAPPYを育てたい
・自分ももっと成長できると感じ、やる気が出た
・視野が狭くなりがちだが、多くの意見に触れ見え方が変わった
・継続して参加すると、会話にも厚みが増してきているように思う
・この場から大きなムーブメントが起きる予感
・働くことは人生に大きな意味がある、多くの方が関わり実現していると実感
・支援のお仕事は、生き方の支援でもある。さらに学びを深めたい


今回のレポートは以上です。
多くの方からオフ会を希望する声が出ています、大人数で集まることはコロナ環境下では難しいと思いながらも、ちょっと考えてみますね。


年内の4bunnno3サロンの日程は以下の通りです。各回15時から2時間の予定です。
是非スケジュール調整をしてご参加ください。

第6回4bunnno3サロン 2020年10月31日
第7回4bunnno3サロン 2020年11月21日
第8回4bunnno3サロン 2020年12月12日

ご参加ご希望の方はこちらをご覧いただき、手順に従ってエントリーしてください。
新しいメンバーのご参加お待ちしています。

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