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神奈川県で 【K-STEP研修会】安定的な就労定着を目指すためのセルフケアトレーニング を実施しました 3

2021.03.17

report

神奈川県と4年連続実施している「K-STEP研修会 安定的な就労定着を目指すためのセルフケアトレーニング」、3部構成の3回目「就活編」を2月24日に実施しました(もうすでに1か月近く前・・・)。

川崎市によると、全国の150ほどの事業所などで毎年新たに500名以上の方がKSTEPを使ってトレーニングを始めているそうです(川崎市に届けられているだけの数字ですので、実際はもっと多いようです!)
しかし一方で、就職した後も使い続けている方はまだまだ少数。

セルフケアスキルは就業後も使い続けることで就労定着率を引き上げるのに・・・悔しいなぁというのが僕の印象です。

「就職先にセルフケア報告をやりたいと言ったけれど、そんな時間は取れませんと言われました」
こんなお話を沢山聞きます。

でも、僕の教え子たちは就業後もセルフケア報告をしていますし、リカバリータイムももらってリカバリーを実施しています。何が違うのでしょうね。

それは、恐らく2つのことで説明ができます。
 課題1)ラインケアの意識がある雇用現場に就職できているかどうか
 課題2)セルフケア能力を発揮できる環境を整備できているかどうか

上手くいかない方の就活は、内定を取ることを目的にしているのかも知れません。だから内定をくれた会社に(あまり何も確認せずに)入社してしまう。
本当に大切なのは、本人が培ってきたセルフケアスキルを認めて、応援してくれる職場を探して就職することですよね。そうすれば就職した後に「就職先にセルフケア報告をやりたいと言ったけれど、そんな時間は取れません」なんて言われる悲劇は起こらないはずなのです。


まずはセルフケアスキルを高めること、そして面接では自信をもって自分の困りと必要配慮を伝えます。これだけでラインケアの意識のない企業(障がい者雇用をしている約8割の企業が該当します)は自ら去ってくれます。なぜって、それらの企業は「配慮のいらない人」を探しているからです。それでもご本人に興味を持ってくれた企業はラインケアの意識があるはずです。これで 課題1)ラインケアの意識がある雇用現場に就職できているかどうか はクリアできます。


次に、面接の中でセルフケア報告を毎日やってきたことをアピールしましょう。僕のお勧めは(ちょっとドキドキするかもですが)実際にその場で面接官に向かってセルフケア報告を実演することです。聞くと見る(実際に体験する)では違いますから、ラインケアの意識がある企業さんは興味をもって食いついてくれます。興味を持ってくれた企業さんを見つけた就活者はとても嬉しい気持ちになりますよ。その場で「この報告を毎日やらせてほしいです」と言えば、OKをくれる会社も沢山あるはずです。これで 課題2)セルフケア能力を発揮できる環境を整備できているかどうか もクリアですね。

このように就活では相手からYESをもらうための組み立てが必要です。ラインケアの意識のない企業に就職して後から「配慮をください」と言ってもうまくいく確率はとても低いでしょう。ぜひ今の就活の仕方や、就活の常識と思い込んでいることを見直して、本当に必要なことを伝え、確認できる就活の仕方をご検討ください。

研修では他にも僕が持っている就活の11の極意をご紹介したり、支援者として大切にしたいことなどをお話したのですが、ちょっと長くなるのでここでは割愛しますね。

研修のご依頼ではどうしても時間制限があるため、僕がやりたいこと言いたいことを全部盛り込むことは難しいのですが、今回は神奈川県が僕の要求に応じて下さり、オンラインでの3回×3時間 計9時間の研修をやりきることができました。全部の会で頂いた沢山のご質問すべてに回答もさせて頂きました。講師としてとても満足できるものだったと感じています。

3回合計のご受講者満足度も 4.5点/5点 ととても高い数値を記録しました。最期に寄せられた皆様からの感想の一部を以下にご紹介します。

・自己理解とそれを伝えることの大切さ、企業側の状況など、知っていたつもりに
 なっていたことに気づいた。
・第1回・2回で学んだセルフケアの運用方法が、どのように就活と組み合わせる
 ことができるのか、研修前はイメージがしづらかったが、研修を通して組み合わ
 せ方と合わせることの大切さを学ぶことができた。
・セルフケアをベースに就活に向けての支援者が成長していくヒントがたくさん盛り
 込まれており、早速取り組めることから始めていきたいと思った。
・単なるツールとしてではなく、情熱や理念の大切さも含めて説明して頂き、取り
 組みを続けるモチベーションも得られたように思う。
・障害者雇用と関係なく、一緒に幸せな人生のお手伝いをしているんだという考えに
 刺激を受けた。
・実際の就労にあたっての運用方法が具体的になった。
・ツールの使い方のみではなく、講師の現場での経験を交えてお話いただいたのが
 役に立った。
・自分のこれまでの経験からしか話せなかった働く事への根本的な意識を学ぶこと
 が出来た。書類や面接で 伝えるべき内容は、今の職場にはなかった考え方だった
 ので参考になった。
・配慮要求の説明を企業へ伝えてもそもそも理解されない可能性があることを知っ
 ておくことやマジョリティによる意識の偏りなど自分自身の気づきになった。
・各事業所でご利用者様に対してどのようなアプローチを行っているのか、今後の
 オフィス支援の参考になった。
・現場の声で共感できる部分も多々あり、その解決のヒントも知れた。
・パネリストの方は現場の方だったので、同じ意見を持つ方、同じ悩みがある方が
 いることで安心感を感じることができた。
・最初に講師の解説がない中でのパネラーの方々の率直な意見が聞け、その後に
 講義内容で詳しい解説が聞けたので活きた情報として捉えることが出来た。
・支援者間での日ごろの試行錯誤が窺え、非常に共感できる対話のように感じた。
・これまでの経験や業務で、常に考え続けているからこそのお話が聞けた。
・就活で大切にしている事の視野が狭い方へのアドバイスが、とても参考になる
 意見が多かった。
・オンライン研修なので、遠方からも参加できた。3回に分けて実施され、例年
 より内容は濃かったのではと思うが、もっと時間があればとの思いはある。
・1回目の研修後、利用者様と一緒にシートを作成した。シートを作成するだけで
 も、利用者様にとって自己理解が進み、自分の気づかなかったサインに気づく
 など出来た。
・お話を聞いたことで、セルフチェックを行なうだけでなく、報告することや、
 積極的にリカバリーを図ることの重要性を知ることできた。
・今までもK-STEPの運用は行っていたが、日々の調子の確認のみでとどまって
 しまっていたため、時間内で報告する練習・声掛けの練習・自分の心身の調子を
 把握するためのツールなど色々な活用方法が想定できることが研修を受講して
 わかった。事業所内でも他の支援者含め正しい使用方法ができていないと感じた
 ので、事業所内でも勉強会を行い、認知度を上げていきたいと思う。
・セルフケアトレーニングは就労する前と後で、軸になるという事を理解し、本人
 が活躍しやすい環境つくりには欠かせないトレーニングだと認識した。自分の
 状態が把握しづらい利用者にとって自分を助け能力を発揮するのに必要なスキル
 であり、支援者との共有スキルだと感じた。今後は、利用者が実感できるセルフ
 ケアを目指していきたい。
・これまで就労移行に長くかかわってきたが、セルフケアを習得できるような支援
 に難しさを感じていた。また、就労支援についても各スタッフの感覚に任せて
 しまう部分も多くあった。K-STEPに取り組むことで、定着に向けて大きな自信
 を得ることができるようになりそうだ、という期待感がある。
・この研修情報を元に支援を続けていく。また、必要に応じて情報ネットワークを
 利用して同じ仲間の方々と歩んでいきたいと思っている。
・知的を伴う発達障害の方に早速利用を考えている。失敗してしまう部分もあると
 思うが、取り組んで得た情報をまたフォローアップの機会に共有できたらと思う。
・私は企業の障害者枠で働くチームの支援員をしている。企業内ではまだまだ障害
 者の方と働く事が 広まっておらず、雇用率といった数字を追っている状態で
 ある。現場の立場から今回の研修を参考に、障害者雇用が良い形で進むよう、
 お互いに働きやすい職場になるよう提言出来たらと思っている。

以上です。


ご参加くださった皆さま、環境を作って下さったスタッフの皆さま、一緒に研修を作って下さったパネリストの皆さま、主催して下さった神奈川県の皆さま、本当にお疲れ様でした、そしてありがとうございました!!

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