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多様な人たちが輝くためのパターン・ランゲージ 
②「キラパタの構成と使い方」

2021.05.10

know-how

キラパタのサブタイトルには ~病気や障がいのある方を仲間に迎える際に読む本~ とあります。そのような際に大切なことは、違いがあることを知るということです。

誰もが、自分の視点や環境を当たり前のことと考えます。TVの向こう側のことのように自分と距離があれば受け入れられても、一緒のチームになるような場面では異質と捉えて否定したり、排除する言動に出てしまいがちです。ここ最近、性、宗教、文化や思想などにおいて多様性というキーワードが目立つようになってきました。価値観の不一致でうまくいかないなんていう問題も身近にありますよね。

このキラパタでは、僕の専門分野である精神障がいのある方を受け入れる企業に向けて書いたものですが、使い道は決してそれに留まりません。違いがある方と関係を深めて一つのチームを作り上げるためのメソッドになっていると思います。

キラパタの構成は、裏表紙を見て頂くと分かりやすいでしょう。

●受け入れ準備パターン
何も知らず、考えずに交わって上手くいくケースもありますが、いくつかの要点を押さえておくと成功率がグッと引きあがることが分かっています。これを
A)障がい者雇用を始める前に
B)入社前のひと手間
という2つのグループにわけて、以下の通りそれぞれにパターンを設けました。

A)障がい者雇用を始める前に
 1.プラスへの転換
B)入社前のひと手間
 2.まずは出してみる
 3.職場サポーター
 4.活躍のアイデア会議


次の 一緒にはたらくパターン は3つのグループそれぞれ3つ、合計9つのパターンで構成しています。
●一緒にはたらくパターン
仲間として一緒に働くとお互いの違いにより、些細なことでチームが機能しなくなります。そこで
C)スムーズな立ち上がり
 5.ウェルカムサイン
 6.仕事の誇り
 7.大丈夫の確認
という3つのパターンを知っておくと役立つでしょう。

一緒に働いていて一番重要なのは違いに気付き、上手にその差をコミュニケーションで埋めることです。
D)多様性に気づくコミュニケーション
 8.困ったら共有
 9.なるほど!探し
 10.伝わることば
というコミュニケーションにおける3つのスキルを普段使いして頂くと良いでしょう。

チームの意思疎通が機能するようになってきたら
E)活躍に磨きをかける
 11.できるが増える
 12.できないを見極める
 13.見守りの距離感
という3つのパターンで本人の価値を引き出します。ここまでできる現場は誰もが活躍しやすい環境になっているはずです。


そして最後は、人事や経営に携わる方に知って欲しいパターングループです。
●次につなぐパターン
F)より大きな流れを生み出す
 14.足を運んで、見て、聞いて
 15.成果を認めて広げる
 16.未来の働き方へ

以上16のパターンで構成されています。読み物のように最初から順番に読んでも参考にはなると思います。しかし、実際に病気や障がいのある方を仲間に迎え入れようと思った際に、ご自身の環境に合わせて必要なパターンを読むと良いかと思います。6ページ目には利用タイミングの表を載せておきました。

これを見ると例えば2.まずは出してみる は採用前と1年後くらいにやってみると良いことが分かります。

ABCなどのようなグループごとの最初に扉ページを設けています。ここでは使用対象者、効果的な使用タイミング、実行すると手に入ることをまとめておきました。

A)障がい者雇用を始める前に のグループは 1.プラスへの転換 というパターン1つだけでできており、これは人事や経営者の方に取り組んで欲しいということです。効果的なのは障がい者雇用を始めることを決めたときや、始めたものの上手くいかず仕切り直したいときですね。このパターンを使うと、社員の共通価値観を構築し、障がい者雇用に不安な方をプラス思考にすることができることが分かります。

次のページからは具体的にパターンごとに見開きで解説。

さらにグループのパターン解説が終わった後には、それぞれのパターンに該当する事例を紹介しています。

この事例は川崎市が多くの企業にヒアリング調査をして入手したものをまとめましたので、とても参考になると思います。

長くなったので今回はここまで。次回から各パターンの解説をしていきますね。

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