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第17回 4bunnno3サロン

2021.07.21

report

就労・定着支援に関わる方が相互に気づきを高め、学びを深める4bunnno3サロン、
第17弾を11名で実施しました。

今回は特別企画として「サテライトオフィスの課題と可能性」と題し、早くからサテライトオフィスに取り組んできた株式会社スタートラインの取締役である白木孝一氏をお招きして、お話を伺い、その後皆で議論をしました。

というのも、過去回で2度ほど「サテライトオフィスってどう思いますか?」という質問があり、意見を伺うと福祉系の方はあまり良い印象を持っていないことが多いように感じます。

先日、1年ぶりに白木さんと食事をご一緒する機会があり、上記を伝え「サロンで一緒に話してみませんか」とお誘いしたところ、「怖いなぁ(笑)」と言いながら快諾して下さったことで実現しました。

事前にご参加者の方から集まった質問は以下の通りです。
 ・サテライトオフィスのビジネススキームを教えて下さい
 ・スタートラインさんがサテライトオフィス推進で目指す世界を聞きたい
 ・サポートスタッフに求めるスキルはどんなものですか
 ・1人のサポートスタッフで何名ぐらいの障がい者の方を見ていますか
 ・現場で障がい者をサポートするスタッフへの育成ではどんなことをしていますか
 ・サテライトオフィス業界の課題はどのように捉えていますか
 ・サテライトオフィスの競合他社との違いを教えて下さい

白木さんは前もって資料を作成して、最初の45分ですべての質問を網羅しながらお話をしてくれました。因みに資料には完全に社内資料で普段は見せないというものも含まれており、参加した方にとっては刺激的で有意義な時間でした。

大変情報が多かったので、僕がポイントだと思うことを以下にまとめてみます。


【スタートラインの考えるサテライトオフィス】
 ・サテライトオフィスはハード(箱としての環境)提供だと思われがちだが、実際に
  重要なのはソフト(支援、課題解決力)だと考えている
 ・障がい者雇用で目指したいのは、単純な雇用数量(就業に対して困りが少ない
  障がい者手帳保持者を採用することでもクリアできること)ではなく、就業に困り
  の量が多い方に就業機会を提供することを重視する
 ・環境整備だけではなく、障がい当事者にも教育を施す
 ・サポーターには専門的な知識や学びを得るための機会投資を行う
 ・サポーターに提供する知識は独自に研究する組織を設けている

【サテライトオフィス業界の課題】
 ・意図しない形での法規違反(二重派遣など)
 ・雇用側に偏った視点でのアウトソーシング(就業者や支援者の幸せ追及不足)
 ・支援しない(できない、できるだけの知見がない、支援者の力量不足)
 ・拠点数の拡大を重視した展開

【スタートラインの取り組み】
 ・2013年にCBSヒューマンサポート研究所を立上げ、以降世界の学会で毎年研究・
  実践結果を発表している
 ・科学的根拠のある「応用行動分析(ABA)」「文脈行動科学(CBS)」「関係
  フレーム理論(RFT)」などをベースに独自開発したシステムや、ツールを支援
  に用いている
 ・サポーターは自分の知見で支援をするだけではなく、支援記録を元にしたレポー
  トを社内で共有することで、他サポーターに意見を求めたり、意見交換したり
  する仕組みがある(チーム支援体制)

白木さんの説明が終わった段階で少しリカバリータイムを取り、その後皆さんが考えたことを共有しました。


<サテライトオフィスは通過点?>
採用企業は本業で雇用することを是とした場合、サテライトオフィスでの就業を経て本社勤務することが望ましいという考え方はあって欲しい。就業者にその希望があり、雇用側がサテライト雇用を通じ、学びを深めることで実現できる機会があれば良さそう。実際にサテライト利用段階では障がい者雇用に対する興味関心が薄かった企業が、関りを深める中で取り組みが促進されたケースは一定量ある。

<無知が良くない>
サテライトオフィスに対して、良く知らないのに「なんとなく嫌」という感覚を持っている支援者は一定量いると思われる。質の低い事業者もいるかも知れないが、そのようなところが永続的に上手くいくことは難しいことが分かったので、サテライトを運営するそれぞれの事業者が何を大切にし、どのように取り組んでいるのかを支援者としてしっかり聞き、見極めることが大切だと思えた。

<サテライトオフィスが障がい者雇用のスタンダードに?>
現在多くの事業者がサテライトオフィス事業に進出しています。障がい者雇用=サテライト勤務というイメージが高まることに対してはどう思うかについて数名の方が意見を言いました。
 ・選択肢の一つであれば良いがそれしかないというのはバランスを欠く。
 ・サテライト環境が必要なのは雇用サイドか就業サイドか。双方の意向がマッチする
  場合は良いが、雇用サイドに偏った推進が進む場合は警鐘が必要
 ・障がい者雇用が進まないという課題に対しては一つの対策になりうる。
 ・業態にも依るが、単一性組織と多様性組織のいずれが生産性や算出価値が高いか
  という視点でモノが考えられる社会に成熟することを期待。

<支援者の支援の仕方>
支援者に求めるスキルが非常に高いと、現場で一人前として就業するのに時間が掛かる。そのバランスが重要。スタートラインでは入社1,2か月は座学中心で、その後現場に出てOJTで学び続けている。また支援は単独ではなく、チームで支援するという感覚が求められる。こういった支援者育成の仕組みが業界全体的にもっと高められると良さそう。

<成長機会創出とトラブルが起きない体制強化>
雇用現場では就業する障がい者の成長機会を作りたいと思う反面、日々発生するトラブルの対応に追われることもある。その結果支援者が疲弊し、離職、支援力の低下という悪循環に至ることから、トラブルの起きない関係性や支援体制は重要だと感じた。

<福祉の支援と企業の支援>
スタートラインの支援は手厚いと感じた。ややもするとそれは企業の支援領域ではなく福祉領域と感じるところも手掛けている様子。障がいのある方が就業する際の企業における必要支援とはどのようなものか、もっと議論が必要かもしれない。

<サテライトオフィスという名称>
最近まったく違う業態でサテライトオフィスを連呼するCMがあること。またオフィス環境の箱貸しだけではなく、主なサービスはコンサルティングや現場における支援であることから、名称を変えたほうが良いと感じた(笑)


終了時間を30分近く押すほどの盛り上がりを見せた回になりました。ご参加者の多くはサテライトオフィスに対する考え方に変化が生じ、障がい者雇用の一つのソリューションであり、また協同すべき対象であると感じたようでした。
本日のレポートは以上です。

今後の4bunnno3サロンの日程は以下の通りです。

第18回4bunnno3サロン 2021年8月7日 午後1時30分
第19回4bunnno3サロン 2021年8月28日 午後1時30分

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既存・新規いずれの方もご参加連絡お待ちしております。

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