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K-STEP研修会 in 横浜 で頂いたご質問に回答します! final

2020.03.25

know-how

2月に横浜で実施したK-STEP研修の事後アンケートで頂いたご質問への回答も今回でおしまいです。では、参りましょう♪

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■Q12 K-STEPなどでセルフケアトレーニングを重ねたあとに、就職へ進めるようになったが、希望する就職先において、これまで事業所内で行っているセルフケアができない環境だった場合に、どう配慮を要求していけばよいでしょうか。

▶A12 これは今回の研修の3日目就職編で扱った内容ですね。変える気のない雇用現場を変えることはとても難しいです。変わりたい、一緒に頑張りたいと思っている環境のある現場に、皆さんの大切なご利用者を送ることを考えたいですね。
そのためには、就活段階で企業をしっかり選ぶということをやりましょう。研修に参加していない人もいるでしょうから少しおさらいしておきます。

まず世の中の障がい者雇用をしている企業の8割ほどは、本音では配慮のいらない障がい者を探していることを知っておきましょう。ですから就活する際には、セルフケアトレーニングで培った力を活かして、「できること、苦手なこと、必要な配慮」などを就活資料に書き込むと共に、面接でアピールします。すると数は少なくても実際にその配慮を提供できる企業と出会うことができます。「私は配慮はいりません」と言いがちですが、これが8割の配慮を提供したくない企業を呼び込むのです。就職をゴールとせずに、就活は本人の活躍を一緒に考えてくれるパートナー探し♪と考えて取り組みましょう。

■Q13 現在、就労継続支援B型事業所に勤務しています。当事業所においても就労に結びつくケースは少ない状況ですが、”B型サービスの利用者=就労準備が整っていない”という採用側のイメージが先行して、十分な機会が得られていないという実感もあります。就労する意思に加え、ある程度働く準備が整っている方については、就職までに時間がかかりすぎるという認識を持っていますが、移行支援サービスを経て就労というセオリーに加え、B型からの就労パターンを活性化させるためのアイデアなどありましたら、是非参考にお聞かせください

▶A13 僕がチャレンジしたことのない領域のお話なので、大変興味深いです。一言で言えば、その方が十分に就業し、能力を発揮できることを証明できればチャンスはあると思います。少し前まで就労定着の方程式の話も良くしていたのですが、
  就労定着=雇用現場の受け入れ力+ご本人のセルフケア力+外部の支援力
というものです。「B型の方でもいいよ」という受け入れ力のある雇用現場を見つける努力をするか、ご本人のセルフケア力を高める努力をするかの二択です。支援力で無理に就労をキープするのは永続的に機能しないことからお勧めしません。セルフケア力を鍛え、どうやってこの人は大丈夫と証明するかというプロセスは就労移行と同じなのではないかと考えます。
それでもB型は就労移行より就職が難しいのはきっと事実でしょうね。でも、ご質問者のこの質問には強い意志を感じます。「B型なのに、就労移行より一般就労者を出している事業所がある!」なんてニュースが流れたら格好いいですね。応援します。

■Q14 服薬管理ができていない人へ重要性を理解してもらうためにK-STEPを活用できないかと考えています。同様の例があれば事例として活用法を教えていただきたい。

▶A14 Q7で書いたことが参考になるでしょうか。また本人に理解させようとするとお互いにしんどくなることもありそうですね。服薬管理は手段です。いきなり手段の話はせず、まずは手に入れたいゴールを意識したいですね。例えば、「激しい落ち込みが落ち着くことで通所できるようになりたい」こういったイメージを共有します。
次に、できるできないは別にして、有効そうな策をできるだけたくさん出します。通所仲間はどうしていたかを聞いて情報を集めることも重要です。自分だけで考えてもたかが知れていますから。Q11に書いた利用者間の情報交換のプログラム設計が有効ですよ。そして、集まった策の中から自分でできそうなものを自分で選びます(この中に服薬管理というのが出てくるのを待ちましょう)。それをQ7で書いた生活リズムシートの中に組み込み、習慣化を目指します。

■Q15 精神障がいに特化したツールだとお聞きしましたが、発達障がいの方になじまない理由をお聞きしたい。

▶A15 発達の方の中にはセルフチェックによる状態把握や特徴理解が難しいと感じる方がいることが主な理由です。しかし、セルフケアトレーニングの目的の一つは、「伝わりにくい困りの共有」だと捉えると、発達障がいの方も使いこなせる可能性が十分にあると考えます。発達障がいの方と周囲の付き合いでは、ご本人より周囲が困りを感じることが多いかもしれません。ところが本人はそのことに気づけない。であれば、周囲が困りやすいことをシートに書き出し、その事象が発生した場合にそのシートを使いながら、「いまこの状況が起きている」と本人にFBします。そのことで本人のメタ認知が機能し始めますね。その場合の対処の仕方を一緒に考え、型として取り組めるようにできるとお良さそうだと考えています。僕自身が発達の方の支援事例が少ないので、発達の方の支援が多い支援者の方で実証して頂ければ嬉しいです。

■Q16 毎日の報告に対する質問は1つですか?1テーマですか?

▶A16 実を言うと、いくつでも、何テーマでもいいです(笑) ただ研修でもお話した通り、支援者の方は寄り添う意識が強いためずっと話しを聞いたり、知りたい欲求が強く沢山の質問をしてしまう印象があります。そこで短時間を意識して頂くために「質問は1つ」とお伝えしています。短時間で報告を聞くメリットが分かっていれば、あまり細かく気にせずでOKです。

以上で、2月に実施した研修で頂いたご質問にすべて回答しました。ご覧頂きありがとうございました♪

※挿絵は「ちょこぴよさん」によるイラストACからのイラストを利用しました

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