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K-STEP研修会 in 横浜 で頂いたご質問に回答します! ①

2020.03.09

know-how

先日2月に横浜にて2回連続で実施したK-STEP研修会(第1回はコチラ第二回はコチラ)の事後アンケートで沢山のご質問を頂きました。

神奈川県が取りまとめて質問状にして下さったので、かなりの時間をかけて回答してみました。
ご参加者には神奈川県を通じてメールにてお届けしますが、良いご質問が多かったので、こちらでも転載してみようと思います。かなりの量ですので数度に分けて掲載します。ではご覧ください。


^^^^^ 回答に際して ^^^^^
4bunnno3 北村です。過日は 2 日にわたる研修へのご参加、誠にありがとうございました。また、たくさんのご質問を頂き、皆さまの熱意を感じ嬉しく思います。
さて、以下ご質問に回答致しますが、皆さまのご質問には個別の背景があると思います。すべての状況が分からない中での回答であること、また正解ではなく北村の私見であるため、参考としてお捉え頂けますようお願い致します。(利用企業に対するご質問に対しては、今回の研修に登壇した(株)湘南ゼミナールオーシャン様からの回答を記載しています) もっと具体的な情報交換をしたい場合は、お気軽にメールを頂くか、K-STEP の Facebookページにご参加いただき、ご質問ください。皆様と双方向のやり取りをしながら互いに学びを深められれば幸いです。
■4bunnno3.com メール:n_kitamura@4bunnno3.com
■Facebook ページ:https://www.facebook.com/groups/495589317886501/
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■Q1
一般的通念として、就労移行支援サービスは就労できる(できそう)ことが見込まれる方を対象としていますが、就労をひとつのゴールまたは社会参加の入口と考えた場合、より多くの障がいを持つ方々を社会に送り出していくために、「就労のボーダーラインをどうやって下げていくか」、当事者が、まずやるべきことについてご意見を頂戴できれば幸いです。

▶A1
就労移行者として非常に重要なテーマだと思います。「就労のボーダーライン」の設定基準が大切になりますが、これは多くの企業がどのくらいの方であれば採用したい、一緒に働けると思えるかの視点で考えると良いと考えます。4bunnno3 では、企業が採用時に判定するのは 1)業務力 と 2)セルフケア力 だと解説しています。以前は1)に注目する企業が多かったのですが、最近は2)が大切と考える企業増えているように思います。実際に業務力が高くても、状態が不安定でその力を発揮できなければ意味がありません。また、セルフケアができていれば、1)は職場で後からでも身に付きます。よって、ご質問には「セルフケアトレーニング」と回答します。

■Q2
K-STEPの効果が出ているのか支援者側の方で、把握しづらい時がある。どの辺りをメドに効果が出ていると判断して良いのか分からない。

▶A2
このご質問を受けて以下書いてみたのですが、結構参考になりそうな気がします。 K-STEP のトレーニングによる成⻑には 3 つの段階があります。

1 )慣れや向き合う気持ちを高める段階:
 本人もまだ実感がないでしょうし、ご支援者も効果を感じないかもしれません。そんな中で続けるご利用者は大変ですから、継続的に向き合っている姿勢を褒め、小さな気づきを一緒に見つけたいですね。
2 )状態把握や特徴理解が進む段階:
 今までは「なんとなく」でしか感じていなかったことを言語化でき、気づけるようになります。ご支援者が気づくのは、本人の状態把握や特徴理解へのモチベーションのアップや本人から出てくる情報(言語)の新鮮さでしょう。
3) 回復対処や配慮要求行動の変化段階:
1や2は本人の頭の中での変化を、コミュニケーションを通して(本人に聞くこと)でしか気づくことができませんが、この段階になると行動が変わるため、見ていて気付くようになります。

以上です。
ご質問では把握しづらいということですので、段階1だと思われます。これはセルフケアトレーニングに限りませんが、成果がでるには次のような方程式があります。
  <成果のでる方程式> 「成果=正しい方法×丁寧な取り組み」
因みにこのことを理解して取り組める人は、間違いなく仕事ができる人ですから、僕は昔からマネジメント(人の育成)をする際や現在取り組んでいる子育て(今度小学校2年生になる娘がいます)では、「正しい方法でできているか」「丁寧に取り組んでいるか」を最初にチェックしています。もし成果が出ていないのであれば、この 2 つのいずれがうまくいっていないかを確認し、その理由を見つけ、どうすると良いか一緒に考えます。

■Q3
報告を受ける側に複数人がいる場合で、セルフケアシートの内容を共有する際に気を付けることはありますか。

▶A3
あまりハードルを高くしないほうがご支援者にとってやりやすいでしょう。例えばご利用者の中には、「支援員同士ですべての情報を前もって共有されていて当たり前」という考えの方もいるかと思いますが、その方は就職した際に企業側にそのことを求めすぎると運用コストが高くなることは知っておくと良いでしょう。「できるといいけれ
ど、できないこともあるよ」という考え方は教えてあげたり、事情を話してどうしたら良いか本人に相談すると良いでしょう。
よって、ご質問には「アレコレ考えすぎず、フラットにご利用者の報告を聞いてあげてください」と回答します。それこそ今日配属されたご支援者も普通に報告を受けてみると良いでしょう(報告に慣れているご利用者をアテンドしてあげると良いですね)。
ところで「共有する際」ではなく聞き取った情報には活かし方があると考えます。まず、配慮要求があった場合、その情報に関係するスタッフには即時共有したいですね。特筆したい点や要注意と感じたことも同様です。各社既存の情報共有の仕方はいろいろあると思いますが、立ち話程度の情報共有の仕組みがあると良いですね。例えると「サ
ッカーの試合中に、ピッチ内で選手たちが一瞬集まって意識を共有する」というシーンがありますが、まさにアレですね。座って会議ではなく、こういったちょっとした情報交換をする意識がチーム内で高まっている支援チームは強いなぁと感じます。因みに急ぎでない情報はケース記録に残しておくと、アセスメント情報になります。

■Q4
朝の報告の仕方(環境面)について知りたいです。内容が個人情報になるため、他者に聞かれたくないとの意見がある。

▶A4
これは障がい受容レベルと連動しているお話が多いと思います。例えば、その方は自分の障がいを母親に話していても、父親には話していない。友達には言っていないなど、開示に悩みを抱えているでしょう。最近企業の方と話している中で、障がい受容レベルを採用基準にしているという話を時折耳にします。支援者として、そのままでは就職や就労定着、ひいてはご本人の幸せな人生には大きなハードルがあるということを理解しておくと良いでしょう。
その上でご利用者が気になるのは当然の反応のひとつですから、否定したり強制的に変えさせる必要はありません。如何に「言っても問題ない」「安全だ」と感じるようにしてあげるかが大切ですね。僕の感覚では施設内であれば大丈夫という方のほうが比率は高いと思いますので、大丈夫な方はオープンな環境で話を聞くと良いでしょう。そして、クローズじゃないとダメという方(仮に A さん)は、環境が許すのであればその環境を作ってあげましょう。A さんは他の人たちがオープンな環境で話していることも日常的に目にします。また、ご利用者同士の情報交換(対処プランや配慮プランなど)の環境や機会を作るなどの工夫があると、隠すよりオープンにすることにメリットが
あると感じるようになるかも知れません。時を見て、オープンにできることのメリットを話してあげるのも良いですね。A さんが「私もオープンで大丈夫」と言えるようになるのを待ちたいですね。最終的にオープンにできないと絶対にダメというわけではありません。その多様性を受け止めてくれる就業先を探せばよいのです(絶対数は減るかも知れませんがゼロではないでしょう)。

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